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求人票で「つい」やってしまう違法表現|基本給と残業代の混在を避けるチェックリスト

求人票作成で陥りやすい違法表現を具体例で解説。労働基準法の賃金明示義務に基づいた正しい記載方法をチェックリスト付きでご紹介します。

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読了 約8RecruitHub編集部 (採用管理の専門メディア)

「月給30万円!!」と大きく書いた求人票を出したら、面接で応募者から「この金額は残業代込みですか?」と聞かれて困った経験はありませんか?こんなお悩みを抱えている採用担当者の方も多いのではないでしょうか。

実は、求人票における給与の記載方法には労働基準法で定められたルールがあり、違反すると法的リスクを負うことになります。特に基本給と残業代を混在させた表記は、求職者とのトラブルの元になりがちです。

そこで、本章では求人票作成で「つい」やってしまいがちな違法表現の具体例と、労働基準法に基づいた正しい求人票の作成方法を詳しく解説します。最後には実践的なチェックリストもご用意していますので、ぜひ活用してみてください。

労働基準法の賃金明示義務とは

労働基準法第15条では、使用者は労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金に関する事項を書面で明示することが義務付けられています。この規定は求人票にも適用されるため、求人段階での賃金表記にも一定のルールが存在します。

明示すべき賃金の内容

求人票では以下の事項を明確に分けて記載する必要があります:

  • 基本給(所定内給与):残業代を含まない基本的な給与額
  • 諸手当:残業代、各種手当の内容と支給条件
  • 賞与:支給の有無、支給条件、過去の実績など

これらの項目を曖昧に混在させた表記は、求職者に誤解を与えるだけでなく、労働契約上のトラブルにもつながります。

賃金明示義務に違反した場合の罰則

労働基準法第15条に違反した場合、30万円以下の罰金が科せられる可能性があります(労働基準法第120条)。さらに、求職者との間で賃金に関するトラブルが発生した場合、企業側が不利な立場に立たされるリスクもあります。

よくある違法表現の具体例

ここからは、実際の求人票でよく見かける問題のある表現を具体例で見ていきます。採用活動で忙しい中、うっかりこのような表記をしてしまっている企業も少なくありません。

ケース1:基本給に残業代を含める表記

× ダメな例

月給:30万円
(基本給25万円+みなし残業代5万円・30時間分含む)

この表記の問題点は、「月給30万円」という見出しが強調されているにも関わらず、実際の基本給は25万円に過ぎないことです。求職者は30万円が基本給だと誤解しやすく、後でトラブルになる可能性があります。

○ 正しい例

基本給:25万円
みなし残業手当:5万円(月30時間分)
月給合計:30万円
※30時間を超えた残業については別途支給

ケース2:賞与を月給に含める誇大表現

× ダメな例

月給:35万円
(賞与年2回・昨年実績4ヶ月分を月割り計算で含む)

この表記は賞与実績を月給に含めることで、実際よりも高い給与額を見せようとする手法です。しかし、賞与は業績によって変動するため、確実に支給される基本給とは性質が異なります。

○ 正しい例

基本給:25万円
諸手当:3万円
月給合計:28万円
賞与:年2回支給(昨年度実績:4.0ヶ月分)

ケース3:手当の内容を不明確にした表記

× ダメな例

月給:32万円(各種手当含む)

「各種手当含む」という表現では、どのような手当がいくら含まれているのか全く分からず、求職者は判断材料を得ることができません。

○ 正しい例

基本給:26万円
職務手当:3万円
住宅手当:2万円
通勤手当:1万円(上限)
月給合計:32万円

求職者トラブルを防ぐ正しい記載方法

求人票で給与情報を記載する際は、透明性と正確性を重視した表記を心がけることが大切です。以下のポイントを押さえて、求職者にとって分かりやすい求人票を作成しましょう。

基本給を明確に分離して記載

まず重要なのは、基本給(所定内給与)を他の手当と明確に分けて記載することです。基本給は労働者の生活の基盤となる部分であり、求職者が最も重視する情報のひとつです。

基本給:24万円
職務手当:3万円
住宅手当:2万円(世帯主のみ)
通勤手当:実費支給(上限1.5万円)
月給合計:29万円〜30.5万円

このように各項目を分けて記載することで、求職者は自分の条件に当てはまる手当を判断しやすくなります。

みなし残業代の詳細な説明

みなし残業制度を導入している企業では、特に詳細な説明が必要です。単に金額だけでなく、対象時間数や超過した場合の扱いも明記します。

基本給:25万円
みなし残業手当:4万円(月25時間分)
※25時間を超えた分は別途割増賃金を支給
※みなし残業手当は25時間に満たない場合も全額支給
月給合計:29万円

賞与・昇給の実績を正確に記載

賞与については、支給の有無だけでなく、過去の実績や支給条件も明記することで信頼性が高まります。ただし、実績は変動する可能性があることも併記しておきます。

賞与:年2回支給(6月・12月)
昨年度実績:基本給の3.5ヶ月分
※業績により変動あり

昇給:年1回(4月)
昨年度実績:平均5,000円

手当の支給条件を具体的に記載

各種手当については、支給条件を具体的に記載することで、求職者が自分の状況に当てはまるかどうかを判断しやすくなります。

住宅手当:月2万円
※世帯主かつ賃貸住宅居住者に限る
※持ち家の場合は支給なし

家族手当:配偶者1万円、子1人につき5,000円
※18歳到達後の3月31日まで

資格手当:
・普通自動車免許:月3,000円
・簿記2級以上:月5,000円
・TOEIC800点以上:月1万円

採用プロセス全体の改善について詳しく知りたい方は、採用プロセス改善完全ガイド|効率化から品質向上までもぜひご覧ください。

実践的なチェックリスト

求人票を作成・公開する前に、以下のチェックリストを使って法的問題がないかを確認しましょう。いろいろな手法を試しながら、コンプライアンスを意識した求人票作成のスキルを身につけていきましょう。

基本項目チェック

□ 基本給(所定内給与)が明確に記載されているか □ みなし残業代がある場合、時間数と金額が明記されているか □ 各種手当の内容と支給条件が具体的に書かれているか □ 賞与の有無と過去の実績が正確に記載されているか □ 昇給の頻度と実績が記載されているか

表現チェック

□ 「月給○○万円」の表記で、内訳が不明確になっていないか □ 「各種手当含む」のような曖昧な表現を使っていないか □ 賞与を月給に含めた誇大表現になっていないか □ 「高収入」「高待遇」のような主観的表現のみで具体性がないか □ 実現困難な昇給・昇進の可能性を過度に強調していないか

みなし残業関連チェック

□ みなし残業時間の上限が法定労働時間の範囲内か □ 超過分の割増賃金支給について明記されているか □ みなし時間に満たない場合の扱いが明記されているか □ 固定残業代が最低賃金を下回っていないか

手当・福利厚生チェック

□ 住宅手当の支給条件(世帯主限定、賃貸限定等)が明記されているか □ 通勤手当の支給基準と上限額が記載されているか □ 家族手当の対象範囲(配偶者、子どもの年齢制限等)が明確か □ 資格手当の対象資格と金額が具体的に記載されているか □ 福利厚生の利用条件や制限事項が記載されているか

最終確認チェック

□ 労働基準監督署の指導があった場合に問題ないレベルか □ 求職者が誤解する可能性のある表現がないか □ 面接時に説明する内容と求人票の記載内容が一致しているか □ 他部署(経理、人事等)との情報共有は完了しているか

法的リスクを回避する体制づくり

求人票の法的問題を防ぐためには、個人の注意だけでなく、組織的な体制づくりも重要です。継続的にコンプライアンスを維持するための仕組みを構築しましょう。

求人票作成フローの標準化

求人票作成から公開まで複数の担当者が関わる場合は、誰がどの段階でチェックするかを明確にしておきます。

  1. 初稿作成:採用担当者が基本情報を記載
  2. 内容確認:人事責任者が労働条件の正確性をチェック
  3. 法的確認:法務担当者または社労士が法的問題の有無を確認
  4. 最終承認:役職者が全体を確認して公開承認

定期的な求人票の見直し

一度作成した求人票も、法改正や社内制度の変更に合わせて定期的に見直しを行います。

  • 四半期ごと:給与実績、手当支給状況の確認
  • 年1回:労働基準法改正への対応確認
  • 制度変更時:給与体系や福利厚生変更時の即座な更新

外部専門家との連携

社内だけでは判断が難しい場合は、社会保険労務士や労働法に詳しい弁護士に相談することも検討しましょう。特に新しい手当制度を導入する場合や、業界特有の労働条件がある場合は、専門家の助言が有効です。

求人掲載時のコンプライアンスについては、採用コンプライアンス実践ガイド|個人情報保護から労働法まででも詳しく解説していますので、併せてご確認ください。

よくある質問

Q: みなし残業代を含む求人票で、実際の残業時間がみなし時間より少ない場合の対応は?

みなし残業手当は、実際の残業時間がみなし時間に満たない場合でも全額支給するのが原則です。求人票にも「○○時間に満たない場合も全額支給」と明記しておくことで、求職者に安心感を与えられます。ただし、全く残業がない部署でのみなし残業制度は制度の趣旨に合わないため、導入を見直すことも検討しましょう。

Q: 業績連動賞与がある場合、求人票にはどのように記載すればよい?

業績連動賞与の場合は、「支給の有無は業績により決定」と明記した上で、過去数年の実績を参考として記載します。例:「賞与:年2回(業績により支給・昨年度実績2.5ヶ月分、一昨年度実績1.8ヶ月分)※業績により変動あり、支給されない場合もあります」のような表記が適切です。

Q: 試用期間中の給与が異なる場合の記載方法は?

試用期間中の条件が本採用後と異なる場合は、両方の条件を明記する必要があります。「試用期間(3ヶ月):月給24万円、本採用後:月給26万円」のように記載し、試用期間の長さも併記しましょう。なお、試用期間中であっても最低賃金は遵守する必要があります。

Q: 求人票と労働契約書の内容が違っていた場合の法的責任は?

求人票の記載内容と実際の労働契約に重要な相違がある場合、労働者は即座に労働契約を解除できる権利があります(労働基準法第15条第2項)。この場合、企業側は帰郷旅費の負担義務も発生します。求人票は労働契約の前段階として重要な意味を持つため、正確性の確保は法的義務といえます。

Q: 求人サイトの文字数制限がある場合、どの情報を優先すべき?

文字数制限がある場合は、労働基準法で明示義務がある基本給・労働時間・休日を最優先で記載します。その上で、みなし残業代の内容、主要な手当(住宅手当、通勤手当等)、賞与の有無を記載しましょう。詳細な条件は企業の採用ページや面接で説明する旨を記載し、求職者が詳しい情報を得られるようにしておくことが大切です。

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