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求人票で「つい」やってしまう誇大表現|労働基準法違反を避けるチェックリスト

基本給に残業代や賞与を含めた記載、労働条件の曖昧な表現など、求人票作成時に陥りやすい法的リスクを具体例とともに解説します。

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読了 約8RecruitHub編集部 (採用管理の専門メディア)

求人票を作成していると、「少しでも魅力的に見せたい」という気持ちが先行して、つい誇大な表現を使ってしまうことはありませんか?しかし、その何気ない表現が労働基準法違反につながる可能性があります。

今回は、求人票でやってしまいがちな誇大表現や法的問題について、具体例とともに解説していきます。採用担当者が押さえておくべきチェックポイントもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

求人票でよくある誇大表現のパターン

給与記載の落とし穴

求人票の給与欄では、応募者の関心を引くために実際より高く見せようとしがちです。以下のような記載は法的リスクがあります:

問題のある記載例

  • 基本給20万円~(※実際は諸手当込み)
  • 月給25万円以上可能(※残業代・賞与を含む)
  • 年収500万円(※業績により変動)

労働基準法では、基本給と諸手当を明確に分けて表示することが求められています。混同した記載は、労働条件の明示義務違反となる可能性があります。

勤務時間・休日の曖昧表現

働き方に関する表現も要注意です:

避けるべき表現

  • 「アットホームな職場で残業はほとんどありません」
  • 「やる気があれば早帰りも可能」
  • 「土日休み(繁忙期を除く)」

これらの表現は具体性に欠け、入社後のトラブルの原因となります。労働時間や休日は具体的に記載する必要があります。

昇進・昇格の誇大表現

キャリアアップに関する表現も慎重に:

問題となる例

  • 「入社3年で管理職も夢じゃない」
  • 「実力次第で年収1000万円も可能」
  • 「若手でもどんどん昇進させます」

これらは根拠のない期待を抱かせる表現として、誇大広告にあたる可能性があります。

労働基準法で定められた賃金明示義務

労働基準法第15条では、労働条件の明示が義務付けられています。特に賃金については詳細な規定があります。

明示すべき項目

求人票に記載すべき賃金に関する項目:

  • 基本給の額(時給、日給、月給の別を明記)
  • 諸手当の種類と額(交通費、住宅手当等)
  • 賞与の有無と支給基準
  • 昇給の有無と時期
  • 各種保険の適用

これらの情報を曖昧にしたり、意図的に高く見せたりすることは法律違反となります。

変動する要素の扱い方

業績連動給や残業代など、変動する要素がある場合の記載方法:

  • 「基本給○○万円+業績給(前年度実績:平均○万円)」
  • 「月給○○万円+残業代別途支給(月平均○時間程度)」
  • 「賞与年2回(前年度実績:○か月分)」

このように、変動要素については過去の実績を併記することで、透明性を保てます。

具体的な違反事例と対策

事例1:給与の水増し表記

問題のあった記載 基本給:月給30万円~

実際の内容 基本給18万円+各種手当12万円

対策後の記載 基本給18万円+諸手当(住宅手当5万円、営業手当7万円)=月給30万円

事例2:労働時間の不明確な表記

問題のあった記載 勤務時間:9:00~18:00(休憩1時間、残業なし)

実際の状況 月平均20時間の残業が発生

対策後の記載 勤務時間:9:00~18:00(休憩1時間) ※月平均残業時間20時間程度、残業代全額支給

事例3:休日の曖昧な表現

問題のあった記載 完全週休2日制

実際の状況 月に1~2回程度、土曜出勤あり

対策後の記載 週休2日制(月1~2回土曜出勤あり、代休取得可)

これらの事例からわかるように、求人票作成時のポイントは正確性と透明性です。短期的には応募者数が減るかもしれませんが、長期的には適切な人材の採用につながります。

採用担当者が押さえるべきチェックリスト

求人票を公開する前に、以下の項目を確認してみてください:

給与・待遇のチェック項目

  • [ ] 基本給と諸手当が明確に分かれているか
  • [ ] 賞与の支給条件が具体的に記載されているか
  • [ ] 昇給制度の有無と頻度が明記されているか
  • [ ] 交通費支給の上限額が明示されているか
  • [ ] 各種保険の加入条件が記載されているか

勤務条件のチェック項目

  • [ ] 勤務時間が具体的に記載されているか
  • [ ] 残業の有無と平均時間が記載されているか
  • [ ] 休日・休暇制度が詳細に説明されているか
  • [ ] 試用期間の条件が明記されているか
  • [ ] 転勤・出張の可能性が記載されているか

表現のチェック項目

  • [ ] 根拠のない「可能性」表現を使っていないか
  • [ ] 数値には必ず根拠があるか
  • [ ] 曖昧な表現(「ほとんど」「基本的に」等)を避けているか
  • [ ] 業界用語や専門用語に説明がついているか
  • [ ] 誰が読んでも同じ理解ができる表現か

法的リスクを避けるための実務的な対策

社内チェック体制の構築

求人票作成における法的リスクを避けるためには、組織的な対策が重要です:

推奨される体制

  1. 作成者:人事担当者が初稿を作成
  2. 一次確認:直属の上司が内容をチェック
  3. 最終確認:法務担当者または社会保険労務士が監修

この3段階チェックにより、見落としを防げます。

記録の保持と更新

労働条件は時間の経過とともに変更される可能性があります:

  • 給与改定の記録:昇給実績を正確に記録
  • 残業時間の実績:月別・年別の平均を把握
  • 賞与支給の履歴:過去3年分の支給実績を保持

これらの記録をもとに、求人票の記載内容を定期的に見直しましょう。

外部専門家の活用

法的な判断に迷った場合は、躊躇せず専門家に相談することをおすすめします:

  • 社会保険労務士:労働法の専門家として適切なアドバイス
  • 弁護士:重大な法的リスクがある場合の相談
  • 採用コンサルタント:業界動向を踏まえた実務的なアドバイス

初期投資として費用はかかりますが、後のトラブル対応コストを考えると十分にペイします。

採用プロセス全体の見直しを検討している場合は、採用プロセスの改善ガイドも併せて参考にしてみてください。

まとめ:正確な求人票で信頼される企業に

求人票での誇大表現は、短期的には応募者を集められるかもしれませんが、長期的には企業の信頼を損なう結果につながります。労働基準法を遵守した正確な情報提供こそが、真に適した人材の採用につながるのです。

今回ご紹介したチェックリストを活用して、法的リスクを避けながら魅力的な求人票を作成してみてはいかがでしょうか。正確で透明性の高い求人票は、応募者からの信頼を得るだけでなく、入社後のミスマッチ防止にも効果的です。

定期的に求人票の内容を見直し、現場の実情と乖離がないかチェックすることで、継続的に改善していけます。いろいろな手法を試しながら、成功事例を増やしていきましょう。

よくある質問

Q: 「経験により優遇」という表現は誇大表現にあたりますか?

この表現自体は問題ありませんが、具体的な優遇内容を明記することが重要です。「経験3年以上の場合、基本給+2万円」のように、条件と優遇内容を明確にすれば、より透明性の高い求人票になります。

Q: 業績連動の賞与がある場合、どのように記載すればよいですか?

「賞与年2回(業績連動、前年度実績:基本給の○か月分)」のように、過去の実績を併記することが推奨されます。業績によって支給されない可能性がある場合は、その旨も明記しましょう。

Q: 求人票の記載内容と実際の労働条件が異なっていた場合の罰則はありますか?

労働基準法違反として、30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。また、労働者から損害賠償請求を受けるリスクもあるため、正確な記載を心がけることが重要です。

Q: 「アットホームな職場」のような抽象的な表現は使ってはいけませんか?

法的には問題ありませんが、具体的な根拠を示すことが効果的です。「社員同士の距離が近く、月1回の懇親会を実施」のように、具体的な事実を併記することで信頼性が高まります。

Q: 求人票の内容を変更したい場合、どのような手続きが必要ですか?

掲載している求人媒体のルールに従って変更手続きを行います。給与や労働時間など重要な条件を変更する場合は、既に選考中の応募者にも変更内容を必ず伝えるようにしましょう。

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